免許返納の数は、近年変動を見せています。警察庁の統計によると、2022年の運転免許証の自主返納者数は44万8,476人で、前年より6万8,564人減少しました。このうち75歳以上は27万3,206人でした。
この数字は、2019年をピークに減少傾向にあります。2019年には60万1,022人が返納していましたが、その後は年々減少しています。
免許返納の数の推移には、いくつかの要因が考えられます:
特に、新型コロナウイルスの影響は大きく、公共交通機関の利用を避け、自家用車の利用が増加したことが返納数減少の一因と考えられています。
警察庁の運転免許統計
警察庁の運転免許統計ページでは、詳細な返納数の推移が確認できます。
免許返納の数には、地域によって大きな差があります。都市部では公共交通機関が充実しているため、返納率が高い傾向にあります。一方、地方では車が生活の必需品となっているため、返納率が低くなっています。
例えば、2022年の統計では:
この差は、地域の交通インフラや生活様式の違いを反映しています。
免許返納の数が減少傾向にある一方で、高齢ドライバーの数は増加しています。2022年末時点で、75歳以上の運転免許保有者数は約610万人に達しており、前年比で約20万人増加しています。
この状況は、社会の高齢化と、高齢者の自立志向の高まりを反映しています。多くの高齢者が、できるだけ長く自分で運転したいと考えているのです。
免許返納の数と高齢ドライバーによる事故率には、一定の相関関係があります。警察庁の統計によると、75歳以上のドライバーによる死亡事故件数は、2022年には262件で、全体の約14%を占めています。
しかし、単純に年齢だけで判断することはできません。個人差が大きいため、一律に返納を促すのではなく、個々の運転能力を適切に評価することが重要です。
家族の役割は、免許返納の決断に大きな影響を与えます。高齢ドライバーの家族は、以下のような点に注意を払うことが大切です:
特に、返納後の生活サポートは重要です。買い物や通院など、日常生活に支障が出ないよう、家族や地域でサポート体制を整えることが、スムーズな返納につながります。
警察庁の高齢運転者対策ページ
警察庁の高齢運転者対策ページでは、家族向けのアドバイスが掲載されています。
以上のように、免許返納の数は単純に増加しているわけではありません。高齢ドライバーの増加、地域差、社会情勢など、様々な要因が絡み合っています。家族としては、これらの状況を理解した上で、高齢ドライバーの安全と生活の質を両立させる方法を考えていく必要があります。
返納を促すだけでなく、安全運転をサポートする技術の活用や、地域の交通システムの改善など、多角的なアプローチが求められています。高齢ドライバーとその家族、そして社会全体で、この課題に取り組んでいくことが重要です。