免許返納と法改正で高齢ドライバー対策強化

免許返納と法改正の概要

免許返納制度の変更点と手続き方法

免許返納制度は、高齢ドライバーの安全を考慮して設けられた制度です。2022年5月13日の道路交通法改正により、免許返納の手続きがより簡素化されました。

 

主な変更点は以下の通りです：

• 返納手続きが「運転免許証の申請取消」として一本化
• 運転経歴証明書の即日発行が可能に
• 返納後のサポート制度の充実

 

免許返納の手続きは、最寄りの警察署や運転免許試験場で行うことができます。必要な書類は以下の通りです：

1. 運転免許証
2. 本人確認書類（マイナンバーカードや健康保険証など）
3. 印鑑（認印可）

 

東京都警視庁の免許返納手続きの詳細情報

 

返納後は、公的な身分証明書として使用可能な運転経歴証明書を取得することができます。この証明書は、様々な特典や割引サービスを受ける際に活用できます。

75歳以上ドライバーの運転技能検査義務化

2022年5月13日の道路交通法改正により、75歳以上の高齢ドライバーのうち、一定の違反歴がある方は、免許更新時に運転技能検査の受検が義務付けられました。

 

運転技能検査の対象となる違反行為は以下の通りです：

• 信号無視
• 速度超過
• 横断歩行者等妨害
• 安全運転義務違反
• 携帯電話使用等

 

これらの違反歴がある場合、実車による運転技能検査を受検し、合格しないと免許の更新ができなくなります。この制度は、高齢ドライバーの運転能力を客観的に評価し、安全な運転を確保することを目的としています。

認知機能検査の簡素化と高齢者講習の一元化

認知機能検査の内容が簡素化され、従来の3項目から2項目に変更されました。

• 廃止された項目：時計描画テスト
• 残された項目：手がかり再生、時間の見当識

 

この変更により、検査時間の短縮と高齢者の負担軽減が図られています。

 

また、高齢者講習も一元化され、従来の2時間講習と3時間講習が2時間講習に統一されました。個別指導（60分）が廃止され、より効率的な講習内容になっています。

 

警察庁の高齢運転者対策に関する詳細情報

サポートカー限定免許の導入と活用法

新たに導入された「サポートカー限定免許」は、安全運転サポート車（サポカー）のみを運転できる免許です。この免許は、運転に不安を感じる高齢ドライバーや、家族が高齢ドライバーの運転を心配している場合に有効な選択肢となります。

 

サポートカーの主な機能：

• 衝突被害軽減ブレーキ
• ペダル踏み間違い急発進抑制装置
• 車線逸脱警報
• 先進ライト機能

 

サポートカー限定免許の取得方法：

1. 普通運転免許保有者が自ら申請
2. 運転免許証の更新申請と同時に申請可能
3. 最寄りの警察署や運転免許試験場で手続き

 

国土交通省のサポートカーに関する詳細情報

 

サポートカー限定免許を取得することで、運転の安全性が高まり、家族の安心にもつながります。ただし、サポートカーの機能を過信せず、常に安全運転を心がけることが重要です。

免許返納後の生活サポート制度と地域の取り組み

免許返納後の生活をサポートするため、各地域で様々な取り組みが行われています。これらの制度を活用することで、免許返納後も快適な生活を送ることができます。

 

主なサポート制度：

1. 公共交通機関の割引
   
   
   
   • バス・電車の運賃割引
   • タクシー料金の割引

2. 買い物支援
   
   
   
   • 宅配サービスの割引
   • 移動販売の利用

3. 医療・福祉サービス
   
   
   
   • 病院への送迎サービス
   • 介護タクシーの利用補助

4. コミュニティバスの運行
   
   
   
   • 地域限定の小型バス運行
   • ドア・ツー・ドアのサービス

 

これらのサポート制度は地域によって異なるため、お住まいの自治体に確認することをおすすめします。

 

国土交通省の高齢者の移動手段確保のための制度・事業に関する調査結果

 

また、地域コミュニティでの取り組みも活発化しています。例えば、ボランティアドライバーによる送迎サービスや、高齢者向けのカーシェアリングサービスなどが導入されている地域もあります。

家族で考える高齢ドライバーの安全運転支援

高齢ドライバーの安全運転を支援するためには、家族の理解と協力が不可欠です。以下のような取り組みを家族で考えてみましょう。

1. 定期的な運転能力の確認
   
   
   
   • 家族同乗での運転評価
   • 専門機関での運転適性診断の受診

2. 運転範囲の限定
   
   
   
   • 夜間や長距離運転の回避
   • 慣れた道路での運転に限定

3. 代替交通手段の検討
   
   
   
   • 公共交通機関の利用方法の確認
   • 家族による送迎の分担

4. 最新の運転支援技術の活用
   
   
   
   • サポートカーへの乗り換え検討
   • 後付け安全装置の導入

5. 健康管理のサポート
   
   
   
   • 定期的な健康診断の受診
   • 視力・聴力の定期チェック

 

家族で話し合いを重ね、高齢ドライバーの意思を尊重しながら、安全で快適な移動手段を一緒に考えていくことが大切です。

 

JAFによる高齢ドライバーの安全運転支援に関する動画

 

以上の情報を参考に、高齢ドライバーとその家族が安全で快適な生活を送れるよう、免許返納や運転継続について慎重に検討してください。法改正による新たな制度を理解し、適切に活用することで、高齢ドライバーの安全と、周囲の安心を両立させることができるでしょう。